終点高尾

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本・はじめての構造主義

はじめての構造主義 (講談社現代新書)

はじめての構造主義 (講談社現代新書)

 

構造主義の大枠が理解できる本

構造主義ってちょいちょい聞くし、なんかカッコ良さそうな名前だけど、どんなもんか分からんなぁ、知りたいなぁ、という人には良さそうな本である。素人でもとても面白く読めた。これを読んで、掘り下げたくなったら、次は実際にレヴィ=ストロースの著作に当たったりすると良いのであろう。

要約

構造主義の生まれる背景、その生まれたプロセスと現在の構造主義について書いてある。

  1. まず、そもそも構造主義とは何なのかをレヴィ=ストロースの人類学について見る形で示される。
  2. 次に、そもそもレヴィ=ストロースのような思想が生まれる背景となった、ヨーロッパにおける数学や科学の発展に伴う構造主義の萌芽が示される。この変化の過程は我々が中学・高校で習うような数学とも絡めて論じられているので、非常に分かりやすいし、面白いと思う。中高での数学は、その定理や思想の発見の時間軸のようなものは教わらないので。
  3. 最後に、構造主義が今後どう変化していくか、どのように必要とされていくか、について論じられる。

感想

現代の相対化された世界において、どちらかというと構造主義的な思想は個人的には当たり前で、1. に関してはそうだろうな、という内容であった。

むしろ、どうして宗教のような一つの価値観が昔は信じられていたのだろうか、と不思議に思うことの方が多かったのだが、身近な中学生や高校生の頃に学んだ数学などに代表される科学が単一の価値観をぶっ壊し、相対的な価値観に作り変えてきたというのが若干鳥肌モノだった。これは2. で詳細に書かれている。宗教側の人々にとっては現代的な構造主義的世界観が世の中を覆っていく過程には、例えるなら猿の惑星でヒトが猿に徐々に駆逐されていく過程のようであろう。そんなドラマチックさまで感じた。このコンテクストを知った上で数学とかをまた勉強しなおすと面白そうだ。

昨今LGBT然り、女性差別の問題など、構造主義的な観点が様々な領域に広がっていく様を見ているようにも感じられる。自分の分からない存在に対して、その中に共通して存在する構造を読み解くことは、他者を理解し、様々な異なる思想の人間が過ごしやすい世界を構築するためには大切なのかもしれない。

 

読みながら取ったメモを下に記します。ちらっと目を通してみて、単語が気になったり、内容を正確に知りたい場合は本の方を読んでみて下さい。

 20181111

中身のメモ

構造とは何ぞ。

西欧中心の思考から遂に離れ、どんな文明も似た理性的思考を持つとする。

ソシュール、一般言語学講義
言語の恣意性:世界に区分が既にあるのではなく、言語によって区分ができる。物質世界のあり方と言語システムは独立した部分がある。

記号(シーニュ)=シニフィアン(記号表現)+シニフェ(記号内容、概念)
シニフィアンとシニフェは常にくっついて存在。独立には存在しない。

言語、記号システムには差異しか存在しない。そのものが存在するのでなく、他のものではないということが存在するだけ。
それ自体を定義するのはめちゃムズい。

日本語のあいうえお、はヨーロッパのaiueoと似てるけど、同じではない!似てるだけ。

人類学に見る構造

以前は歴史主義、伝播主義。最終的に西欧の完成形になる。
これをノックアウトしたのが機能主義(何かしらの機能から文化風習を説明する。以前と異なり文明に入り込んで調べるので根拠が盤石)。
しかし、目的手段から機能だけで考えるとグルッと一周してもらったり、鶏と卵どっちが先か問題みたいになったり、説明が機能から難しかったり、矛盾する文化を持つ社会が出てき
そこで構造主義が出てきた。

交換できるものは価値がある。
交換できるものにそれ自体の使用価値があると交換しにくくなるので価値が出にくい。
同様に婚姻は交換では?!
近親相姦禁止は交換価値を持たせるため?

女性、物財、言語を交換するのが人間社会なのでは。なんのために交換とかでなくそれが人間の社会らしさ。功利的な意味があるわけでなく、人間はそもそもそういう動物なのでは。
言語が物質的世界に縛られないのと同様に、交換も必要に迫られてではなく、そうするのが人間らしさ。
つまり、交換は手段でなくそれ自体が目的となっている!
この交換の特殊に変化したものが経済(利害に基づく交換)。
経済は下部構造(マルクス主義)なんかじゃない。

〜我々日本の教育では効率よく学べるようにカリキュラムが組まれてるから発見の時系列ではない。そのためある定理の凄さが分からなかったりする。ユークリッド幾何学の凄さとか、そういう基本的なところすら。〜

 

真理は2つ in 昔のヨーロッパ

  1. 聖書(啓示による真理)
  2. 証明(理性による真理)

ギリシャ人パない。(よく理想的な点や線の存在を認めた。証明を認めた。)
それ以上疑えない公理から始まる。
ユークリッド幾何学ではユークリッド空間の公理(2点の間に線1つ、線分好きなだけ延長、好きな点中心に好きな円書ける、直角はどれも等しい、直線外の1点を通る平行線が一本だけ書ける)を元に論理学を駆使してきた。
ギリシャ人は算術は奴隷や商人のものだとして嫌った。
アラビア人は偏見無かったから代数学発達。

 

真理が一つに統合される(聖書が駆逐され始める)

これを統合したデカルトによって、解析幾何学を用いると放物線とか物の運動が数式化できるようになった。

あれ、天体の運動も数式化できた。(ケプラー
それどころか天上のことも地上のことも同じ数式になった!(ニュートン
→段々、聖書を理性が駆逐し始める。

もともと理性は聖書を理解するおまけだったのに、理性が上回ると人によって様々な理性依存的真理が生まれる。
→カントは批判哲学で、どれが真理なのかを保証しようとした。まぁぼちぼち市民にウケる筋の通った理論だった。

ユークリッド幾何学の登場。
段々公理をそれ自身矛盾しない形に変えたら、それでも上手く行ってしまった。
リーマン幾何学ヒルベルト空間など色々生まれた。形式主義の勃興。

でも、ニュートン力学とかあるし、ユークリッド幾何学が一番良さそうね。
相対性理論量子力学で粉々に。

というわけで、真理の相対主義が醸成された。あるシステムの中で真理に見えるだけ。真理は沢山ある。

遠近法→射影幾何学形式主義→構造
となった。
射影幾何学:ある物体も見る方向によって色んな形になるねーと。全ての写像は同型とする、とか。

そうやってヨーロッパは色んなものを見つけたが、同じ構造が未開文明にもあった。
→人間の思考レパートリーって大したことなくて、色んな形で現れるだけなのでは?byレヴィストロース

神話は色んな話があって構造研究するには良い。神話は射影されてるだけでは。

ポスト構造主義 / 構造主義と日本

ポスト構造主義とか流行ってるが、構造主義そんなに噛み砕けてるか?
そもそもポスト構造主義構造主義を批判するだけで、モデルを作れてなくないか?
本来、構造主義近代主義へのアンチとして生まれたが、日本では無批判に近代主義的に受け入れられたのでは。
日本は自前の近代主義をまず作るべきでは?近代主義は権力からの自立を図るもの。しかし、なぜか日本では近代主義としてマルクス主義(市民を100%は信頼しない)を持ち上げた。近代主義としてはかなり変則的。
しかし、それ以外に思想的なものは日本では定着してない。

ヨーロッパは自分ら中心の近代主義を生み出し、日本もそれを踏襲して自国中心になって天皇制とか悪用した。
ではなく、市民階級が自分たちの社会と文化のあり方を自覚し、理解し、世界中の多くの人びとと共有できる形式に改め、洗練し、思想に高める。さらに世界の思想と対話しアップデートし続けること。これが日本の近代主義モダニズム(制度と責任の思想)では?
そのためには自文化を相対化し異文化を理解する方法論としての構造主義は役立つはず。

20170224